タプロームは、ジャヤヴァルマン7世が母の菩提を弔うため建立した寺院だそうです。トールキンの小説『指輪物語』に登場する木々の牧人、エントがサルマンの籠もるアイゼンガルドをまさに攻撃せんとするとき、こう言います。「わしらは大地の骨でできておる。わしらは岩であろうと木の根がするように引き裂くことができる」と。この言葉が思い出される程に「森に沈んだ文明」の感じがでていました。
木々の根が建築物を壊し、苔が瓦礫を覆う。人々に顧みられなくなってからの、この繰り返しが今の姿をもたらしたのでしょう。
至るところで、廃墟の石材と緑。乾期であれば違うのでしょうが、目に痛い程の碧さです。
ヘビと間違え、驚いた木の根。至るところに木の根が張り巡らされています。
人は写してませんけど、ほんとはこんな感じ。ツアー客や家族連れで賑わっています。映画「トゥームレイダー」の撮影が行われたらしく、所々に記念撮影用の壇が設けられるなど「観光地」と化してはいました。
これは元の物でしょうか。像を剥ぎ取った後があちこちに見られました。
天上から生え降りて来たかのような木々。下から生えたとは思えない。木々が上から掴みかかっているような、おかしな感覚に陥ります。
エサを貰えるのでしょう、遺跡にはよくいます。
美しい彫刻も緑に染まっていました。
崩れた彫刻も、また緑色です。
もたれかかっているような木。まるで意思を持つ人のような。
タ・プローム