カラカラ浴場〔Thermae Caracallae〕

 「ほら、宝塚チボリカラカラテルメってあるやんか?」と言っても何も返ってこないのを不思議に思っていました。どうやら2009年で営業を終了していたようです。大阪府でも辺境在住の私は全く知りませんでした。

 「チボリ」「カラカラテルメ」なんて世界史の話題にピッタリであったのに、と歯がみする思いです。それはさておき。

Viale delle Terme di Caracalla, カラカラ浴場跡

 ローマ皇帝セプティミウス=セウェルスの息子、カラカラ。父セプティミウス=セウェルスが箔をつけさせるため、マルクス=アウレリウス家に養子入りさせたので本名は「マルクス=アウレリウス=セウェルス=アントニヌス」です。カラカラは彼が好んで着用した長い外套の事で、彼のあだ名です。なので彼が発布した勅令は「アントニヌス勅令」。

 この沈鬱なる表情は、お腹が痛かったから、なはずも無く当時の流行だそうで、カラカラのどの彫像を見てもこんな陰険な表情をしています。陰険な顔をしたローマ皇帝像を見たら、ほぼカラカラに間違い無いです。

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カラカラ

 因みにこれがパパ、セプティミウス=セウェルス。やはり、それほど陰険そうには見えません。

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セプティミウス=セウェルス

 カラカラ浴場にはチルコマッシモ付近で巡回バスから降り、国連食料農業機関の前を抜けて行きます。途中こんなのが。

 あまりに時代を先取りした設備に「こ、これが古代ローマ帝国の実力か。なんたる近代的競技場!」と、そこに居たサッカーのフィーゴそっくりなあんちゃんに向かって「こ、ここがテルメ・ディ・カラカラか?」と思わず興奮気味に訊ねたわけですが「違う、向こうだ」と軽くいなされました。語学オンチは実に辛いですな・・・

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stadio delle terme di caracalla

 こっちが本物です。もはや往時を想像するだけの廃墟ですが、この建造物を建設・維持したローマ帝国の強大さが偲ばれます。

 Googleストリートビューとは違い、奥〔下の案内板では手前〕のNatioにも入る事が出来ました。

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入り口

 案内板の「Apodyterium」は「更衣室」、「Natio」は「プール」、「Tepidarium」は「微温浴室」、「Furigidarium」は「冷水風呂」、「Caldrium」は「高温浴室」を指します。巡回経路は案内板のI → L → M → Qと抜け、左側の端まで行き、O → Lに戻る、この順です。

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案内板

 この赤い線の順ですね。入口は案内板Aの付近でした。

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経路

 遺跡には付き物と言っていい動物ですが、ここではうさぎ。L〔gym〕に入っていきなりです。この大きな部屋の奥には当時のモザイクが残っていました。

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うさぎ

 写真奥の足場は「Apodyterium」は「更衣室」へ続きます。

 ここは「更衣室」、大きめの部屋の周囲にいくつかの小部屋が並びます。床はモザイクで装飾されています。往時にはここで衣服を脱ぎ、それを管理する奴隷がいたはずです。

 Qのエントランス付近だと思われますが「カラカラ浴場だけに頭にタオル!」などと自撮りしていたため不明・・・

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部屋Q?

 一枚目は「Natio」は「プール」の全景、二枚目は間違いなく「部屋Q」の「エントランス」、三枚目の真ん中に見えている塔のようなものが、部屋G「Caldrium」は「高温浴室」の壁のはずです。今は「Caldrium」のドームは完全に壊れてしまっていますね。

 プールに降りるために足場もあり、細やかな建築だったことが伺えます。プールは煉瓦を積み上げた後、モルタルで仕上げていたのでしょうか。

 案内図では見えませんが、建築は線対称になっています。ここからエントランス・「Apodyterium」を抜け反対側のgymへ。

 逆側の「Apodyterium」の床にもモザイクが残っています。階段も見えます、上階があったのでしょう。反対側のgymには、やはり同じモザイクが。対称を重視した建築ですね。ほかのモザイクもここに置かれていました。

 ここから部屋O「Furigidarium」を抜けて、部屋Lに戻ります。

 部屋Oにあった噴水〔写真三枚目〕は現在ローマのファルネーゼ宮に移されているそうで、他にもナポリ博物館にある大理石像はナポリ・ブルボン家がカラカラ浴場より移築した装飾品だそうです。

 モザイク、大理石、彫刻によって飾り立てられていた非常に豪華な施設だったようです。

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部屋G 外から

 盛時を過ぎた時代のローマ建築ではありますが、4世紀に建設され6世紀に放棄されるまで機能した巨大浴場でした。最近のローマ風呂ブームもありますし、旅行の際には是非お立ち寄りを。

Updated: 2022年4月29日 — 7:28 PM