なかなかたどり着けず…
クリュニー中世美術館は、セーヌ左岸のカルチェラタンにある美術館です。
近くには、パリソルボンヌ大学やアンリ4世王妃マリー=ド=メディシスが造らせたリュクサンブール宮殿があります。
リュクサンブール宮殿は、マリー=ド=メディシスが故郷フィレンツェのピッティ宮殿をモデルに建設した宮殿です。当時、フランスはイタリアに比べて文化的に低い地域と見なされていましたから、彼女が王宮であるルーブル宮殿を好まなかったのは無理ない事かも知れません。見比べれば窓の付いたマンサード屋根が全く違いますが、両翼の貼り出し方など確かに似ていなくもありません。現在は上院として使われているそうです。
と、なかなかクリュニー中世美術館の話に入らないのはわけがあります。実は訪れた際に思い切り道に迷いました。原因はホテル「クリュニー中世美術館」のせいです。
今回の旅は携帯のGoogleマップを頼りに場所を探していました。一度試しに「クリュニー中世美術館」を探してみてください。近所のホテルが表示されるようになっています。この表示のせいで迷ったこと迷ったこと。正しい位置は日本語版Googleマップで「国立中世美術館」と表示されている方です。入り口は南側、訪れた時は比較的空いていました。
建物は
クリュニー中世美術館の建物は、ローマ帝国が建設した浴場が基礎となっています。内部にはローマ帝国の浴場跡が保存されています。ローマ浴場の説明はここに多少あります。残っているのは「Furigidarium」つまりは「冷水風呂」の跡です。
中世に入ってから、水の供給が維持出来なくなり入浴の習慣が廃れてしまうと、他のローマ建築と同様に教会施設に転用されました。この建物はクリュニー修道会の建物として利用されました。美術館の名前もそこから来ているんですね。
一角獣と貴婦人
この美術館の収蔵品の目玉は「一角獣と貴婦人」のタペストリーです。6枚組の作品でフランドルで織られたもの。それぞれ視覚・味覚・聴覚・嗅覚・触覚を表すとされる5枚と謎である「私の一つの望みに」の1枚のタペストリー合計6枚なのですが、迂闊にも一枚「嗅覚」の写真を撮り忘れてます。
代わりにピンぼけ気味ですが、近接写真を載せておきます。タペストリーとは日本のつづれ織りと同種で「同種で綿または麻糸を経糸(たていと)とし,染色した毛(絹,金銀なども)の撚糸(よりいと)を緯(よこ)糸とし,木針などを用いて手工芸的に織る〔平凡社マイペディアより〕」です。特徴は経糸横糸のどちらか片方の糸が、表面に露出しない事。確かに表面からは片方の糸しか見えていません。
落ち着いた雰囲気
七泊旅程の最終日に慌てて訪れたために、十分見ることは出来なかったのが悔やまれます。周辺も落ち着いた街並で、ルーブルやオルセーに比べて観光客の数も少なめ、見所も多くてもう一度訪れたい場所です。
あと、まとめていて解ったんですがコレージュ=ド=フランスに近いです。
フェルナン=ブローデル、ミシェル=フーコー、メルロ=ポンティ、レヴィストロースが教鞭を執ったあのコレージュ=ド=フランス…
行き損ねた事を非常に後悔していますが、確認したら横を通っていたので良しとします…