皇帝ナポレオン3世が任命した、セーヌ県知事ジョルジュ=オスマン。彼はナポレオン3世の意を受け、パリ改造に着手します。三次に渡るパリ改造を行い、幹線道路・上下水道・公園などを整備し、現在のパリの形を作り上げました。
そのパリ改造の最中に起こった、1858年のナポレオン3世暗殺未遂事件をきっかけにオスマンが建設に着手したのが新オペラ座、オペラ=ガルニエ。
当時のオペラ座は細いルペルティエ通りにあり警備が難しいことから、より広くより便利な立地に新しいオペラ座が建設されました。写真の赤い矢印はルペルティエ通りの元のオペラ座の位置です。
設計者はコンペで選ばれたジャン=ルイ=シャルル=ガルニエ。言うまでもなく、オペラ=ガルニエは彼の名に因んでいます。今回パリで見た建物の中では、最も艶やかで豪華な建物でした。
写真左手の方に入り口があります。オペラを鑑賞しなくても、中が見学できます。得意のパリミュージアムパスが通じませんので、諦めてチケットを購入しました。まずはエントランスの円蓋。
ここからは見学ルート内部です。エントランスを入って直ぐ、デルフォイの神託を行う尼僧ピュティア像があります。ここが最深部かと思うとそうでは無く、地下には古代からの採石場の跡があり、地下水が溜まっている場所もあるのだとか。
流石はガストン=ルルーの小説『オペラ座の怪人』の舞台です。この時点で既に、頭の中では「ちゃーん、ちゃららららーん」とロイド=ウェーバーの曲の冒頭が鳴り響いていました・・・
この豪華さには更にテンションが上がりました。オペラは舞台で行われるのみに非ず、この劇場自体の壮麗さも、観劇の気持ちを高めてくれる装置の一つなのでしょう。とはいうものの、オペラを見たことないんですけどね・・・
シャガールの天井画で飾られた、赤いシートの並ぶ劇場内部。
正面二階にはヴェルサイユの鏡の間を一段と壮麗にしたような回廊が設えられています。
オペラ関係の書籍を集めた図書室と小さな美術館も設けられていました。
内部の装飾。黒と金を基調にした装飾は、シックで上品に見えます。
オペラ=ガルニエ、完成は第三共和政になってからですので残念ながら1867年のパリ万博には間に合いませんでした。皇帝ナポレオン3世は既に普仏戦争で敗れ退位、1873年にイギリスで亡くなっていましたので、当初の目的は果たせなかった建設物です。
どなたか成功して、ここで公演をできるようになったら是非とも招待してください・・・